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AIコーディングをはじめよう

第3章・AI と LLM を知る

3社のモデルと、いつ何を使うか

AI コーディングの会話には、「Opus に切り替えて」「この作業は Flash で十分」「API だと従量課金だよ」のように、モデルの名前や使い分けの話がよく出てきます。名前が多くて覚えきれない気がしますが、見方はそれほど多くありません。

この章では、Anthropic・OpenAI・Google の3社を同じ並べ方で見ながら、「アプリ(製品)とモデルは別」「同じ会社の中にも大きいモデルと小さいモデルがある」「どれだけ考えさせるかも選べる」「払い方はプランと API の2通り」の4つを順に見ます。どの会社がいちばん良いかは決めません。

この章のモデルの名前は 2026年10月時点のものです。モデルは新しい世代に次々と入れ替わります。いまの名前は、ページの下の「確かめた情報源」にある各社の公式のモデル一覧で確かめてください。料金・使える量の上限などの数値は、変わりやすいのでこの章には書いていません。

図に出す各社の主なモデル(各社の説明で、能力の高い順):

  • Anthropic: Claude Fable 5.1、Claude Opus 5.5、Claude Sonnet 5.5、Claude Haiku 5.5
  • OpenAI: GPT-6 Astra、GPT-6.1 Sol、GPT-6 Luna
  • Google: Gemini 4 Argon、Gemini 3.8 Flash、Gemini 3.5 Flash-Lite
この章で見ること
アプリとモデルの違い、3社のモデルの系列、大きいモデルと小さいモデル・考える量の選び方、プランと API の払い方、手元のパソコンで動かすローカル LLM を、図で順に見ます。
読み終わると
製品名とモデル名の違いが分かり、「賢さ・速さ・料金」のどれを優先するかでモデルを選ぶ考え方を持てる
前の章までに知っていること
第1章の「LLM」「推論」「知識のカットオフ」と、第2章の「トークン」(文章を区切った細かい単位。料金や読める量の単位になる)を使います。
読む時間の目安
15分ほど

この章で出てくる言葉

分かる言葉は読み飛ばして構いません。途中で分からない言葉が出たら、ここに戻ってくるか、用語集で探してください。

アプリ(製品)とモデル
毎日さわる画面・会話の記録・ログインなどを受け持つのが「アプリ(製品)」、その中で文章を作る本体が「モデル」です。ChatGPT はアプリの名前、GPT はモデルの名前です。
モデルの系列(ラインナップ)
1つの会社が並べて出している、賢さ・速さ・料金の違うモデルの組。各社の説明では、上の段ほど難しい仕事に強く、下の段ほど速くて安い、という並びです。
フラッグシップモデル
その会社が看板としている、いちばん上の段のモデル。「フラッグシップ」は旗艦(艦隊を率いる船)のことです。
モデルの引退
新しいモデルが出たあと、古いモデルが使えなくなること。各社とも、古いモデルを定期的に引退させると説明しています。
マルチモーダル
文章・画像・音声・動画など、何種類ものデータ(データの種類を「モダリティ」と呼びます)を扱えること。画面のスクリーンショットを読ませて質問できるのは、モデルがマルチモーダルだからです。
レイテンシ
頼んでから答えが返ってくるまでの待ち時間。「レイテンシが低い」は「待ち時間が短い(速い)」という意味です。
思考(シンキング)
モデルが答える前に、問題を言い換えたり、やり方を試したり、途中の結果を確かめたりする段階。英語では thinking や reasoning と呼びます。「推論」と訳されることもありますが、第1章の推論(学習済みのモデルを使うこと)とは別の意味です。
考える量の設定(effort)
モデルにどれだけ考えさせるかの設定。低くすると速く安く、高くすると難しい問題に強くなる代わりに、時間とトークンが増えます。会社によって呼び名が違います。
プラン(サブスクリプション)
アプリを使うための契約。無料のものと、毎月決まった額を払うものがあり、使える量やモデルがプランで変わります。「サブスク」とも言います。
使用量の上限
プランの中で使える量の上限。有料のプランにもあります。使い切ったら、量が戻る(リセットされる)のを待つか、プランを上げるか、追加の分を買います。どれができるかは会社とプランで違い、くわしくは各社の料金ページにあります。
API(エーピーアイ)
プログラムから別のサービスの機能を呼び出すための窓口。AI の会社の API を使うと、アプリを通さずに、自分のプログラムや道具からモデルを直接呼び出せます。
API キー
API を使うために発行してもらう長い文字列。パスワードのように扱います。漏れると、ほかの人に使われて自分に料金がかかることがあるので、人に見せたり、Git に入れて公開したりしません。
従量課金(じゅうりょうかきん)
使った量に応じて料金を払うしくみ。AI の API では、読ませた量(入力)と書かせた量(出力)のトークンの数に、モデルごとの単価をかけて料金が決まります。
ローカル LLM
自分のパソコンの中で動かす LLM。手元で動かせる形で公開されたモデル(オープンモデル)を入れて使います。読ませた中身を会社のサーバーへ送らずに済む代わりに、パソコンの性能が要り、動かせるのは小さめのモデルです。
ベンチマーク
決まった問題集をモデルに解かせて、正しく解けた割合などで比べるもの。比べる手がかりになりますが、問題集はあなたの作業そのものではありません。

下にスクロールすると、図が1つずつ動いて説明が進みます。見逃したら、スクロールを戻せば同じところが巻き戻ります。図は、しくみを説明するために描いた模式図です。実際のアプリの画面ではありません。

  1. 01 / 21

    「ChatGPT」「Claude」「Gemini」には2つの層があります。毎日さわる「アプリ(製品)」と、その中で文章を作る「モデル」です。

    アプリは画面・会話の記録・ログインなどを受け持ち、モデル(第1章の LLM)に文章を渡して、答えを受け取ります。

    会話では:「どのアプリで?」と「どのモデルで?」は別の質問です。同じアプリのまま、中のモデルだけを変えることもあります。

    しくみの図アプリ(製品)とモデル
  2. 02 / 21

    3社とも同じ形です。OpenAI のアプリは ChatGPT でモデルは GPT。Anthropic は Claude、Google は Gemini です。

    アプリの中でどのモデルを使えるかは、プラン(あとで見ます)などによって変わります。

    会話では:「ChatGPT で聞いた」はアプリの話、「GPT のモデルで書いた」はモデルの話です。

    しくみの図アプリ(製品)とモデル
  3. 03 / 21

    ChatGPT と GPT は名前で分けられますが、Claude と Gemini はアプリとモデルが同じ名前です。モデルを指すときは、後ろの名前と番号まで言います。

    系列の名前(Opus や Flash など)と番号で、どのモデルかが決まります。図の下の名前は 2026年10月時点の例です。

    会話では:「Claude で書いた」はアプリの話のことも、モデルの話のこともあります。迷ったら「どのモデル?」と聞き返します。

    しくみの図アプリ(製品)とモデル
  4. 04 / 21

    第4章から出てくる AI コーディングの道具(Claude Code・Codex・Antigravity CLI)も製品の1つです。中では各社のモデルが動いています。

    道具の中で使うモデルは切り替えられます。3つとも /model という命令でモデルを選べます(第8章)。Antigravity CLI のように、プランによってはほかの会社のモデルも選べる道具もあります。

    会話では:「Claude Code のモデルを Opus に切り替えて」は、道具はそのままで、中のモデルを変えて、という意味です。

    しくみの図アプリ(製品)とモデル
  5. 05 / 21

    各社とも、賢さ・速さ・料金の違うモデルを何種類か並べて出しています。この並びを、この章では「モデルの系列」と呼びます。

    図は 2026年10月時点の各社の公式のモデル一覧から、各社がまずすすめる主なモデルだけを載せました。ほかにも、前の世代のモデルや、音声・画像を扱う専用のモデルなどがあります。

    会話では:「いまの最新のモデルは?」は、ネットの記事ではなく、各社の公式のモデル一覧で確かめるのが確実です。

    しくみの図3社の主なモデル(2026年10月時点)
  6. 06 / 21

    各社の説明では、上の段ほど難しい仕事に強く、下の段ほど速くて安い、という並びです。いちばん上を「フラッグシップ」と呼ぶこともあります。

    横に並んだ同じ段のモデルが同じくらい、という意味ではありません。会社ごとの並びとして見てください。どれが一番かは、この図では決めません。

    会話では:「フラッグシップを使って」は、その会社のいちばん上の段のモデルを使って、という意味です。

    しくみの図3社の主なモデル(2026年10月時点)
  7. 07 / 21

    モデルは、新しい世代が出ると入れ替わります。古いモデルは、やがて使えなくなります(引退)。

    3社とも、古いモデルを定期的に引退させると説明しています。名前を覚えるより、「系列」と「上の段・下の段」という見方を覚えておくと長持ちします。

    会話では:「その名前、もう前の世代かも」——記事や AI の答えに出てくるモデル名は、古いことがあります(第1章の知識のカットオフ)。

    しくみの図3社の主なモデル(2026年10月時点)
  8. 08 / 21

    いまの主なモデルは、文章だけでなく画像も読めます。何種類ものデータを扱えることを「マルチモーダル」と呼びます。

    読めるものはモデルで違います。各社のモデル一覧では、Claude と GPT のいまの主なモデルは文章と画像を、Gemini のいまの主なモデルは動画・音声・PDF も読める、と書かれています。答えはどれも文章です。

    会話では:「エラー画面のスクショを貼って聞いて」——画像を読めるモデルなら、文章で説明しにくいことも伝えられます。

    しくみの図マルチモーダル:文章のほかに画像なども読む
  9. 09 / 21

    同じ会社の中で比べると、上の段の大きいモデルは難しい問題に強い代わりに、遅めで料金が高め。下の段の小さいモデルはその逆、という傾向があります。

    この章では、系列の上の段を「大きいモデル」、下の段を「小さいモデル」とまとめて呼びます。Google の用語集も、大きいモデルは複雑な問いに強いが、より多くの計算を使う、と説明しています。

    会話では:「重い設計は大きいモデル、軽い作業は小さいモデルで」——この傾向を踏まえた言い方です。

    しくみの図大きいモデルと小さいモデル(同じ会社の中の傾向)
  10. 10 / 21

    頼んでから答えが返るまでの待ち時間を「レイテンシ」と呼びます。すぐに答えがほしい場面ほど、小さいモデルが向きます。

    レイテンシは、モデルの大きさのほか、頼む文や答えの長さ、このあと見る「考える量」でも変わります。

    会話では:「レイテンシ重視なら小さいモデル」「急がないから大きいモデルでじっくり」のように言います。

    しくみの図大きいモデルと小さいモデル(同じ会社の中の傾向)
  11. 11 / 21

    いまの主なモデルは、答える前に「考える」段階を持てます。問題を言い換え、やり方を試し、途中を確かめてから答えます。これを「思考」と呼びます。

    英語では thinking や reasoning と呼びます。「推論」と訳されることもありますが、第1章の推論(学習済みのモデルを使うこと)とは別の意味です。

    会話では:「考えさせてから答えさせる」「思考が長くて待たされる」は、この段階のことを言っています。

    しくみの図考えてから答える(思考)
  12. 12 / 21

    どれだけ考えるかは、設定で上げ下げできます。低いと速く安く、高いと難しい問題に強くなる代わりに、時間とトークンが増えます。

    考えた分も、3社とも料金に入ります。呼び名は effort(Anthropic)・reasoning effort(OpenAI)・thinking level(Google)。Anthropic は、モデルを替えるよりこの設定を変えるほうがよいことも多い、と説明しています。

    会話では:「effort を high にして」「この作業なら low で十分」のように、考える量を指定します。

    しくみの図考えてから答える(思考)
  13. 13 / 21

    原因の分からない不具合を調べる・全体の作りを考える・長い作業を任せる。こういうときは、大きいモデルにするか、考える量を増やします。

    3社とも、複雑な推論やコーディング、長く続く作業には、上の段のモデルをすすめています。

    会話では:「原因が分からないから、大きいモデルで考える量も上げて調べよう」のように使い分けます。

    しくみの図作業に合わせて選ぶ
  14. 14 / 21

    決まった形に直す・量の多い作業を同じやり方でこなす・すぐ答えがほしい。こういうときは、小さいモデルや少ない考える量で足りることが多いです。

    Anthropic は分類や抜き出し、OpenAI は焦点のしぼられたくり返しの作業、Google は大量の処理や文書の読み取りに、下の段のモデルをすすめています。

    会話では:「この一括の書き換えは Flash で十分」「下調べは小さいモデルに任せる」のように言います。

    しくみの図作業に合わせて選ぶ
  15. 15 / 21

    迷ったら、始め方は2つです。小さいモデルで始めて足りなければ上げるか、大きいモデルで始めて、余裕があれば軽くするかです。

    Anthropic はこの2つの始め方を紹介しています。OpenAI は、作業の種類ごとに、どのモデルとどの考える量から始めるかの目安を出しています。

    会話では:「まず軽い設定で試して、足りなければ上げよう」は、小さく始めるやり方です。

    しくみの図作業に合わせて選ぶ
  16. 16 / 21

    アプリを使うときは「プラン」を選びます。無料のものと、毎月決まった額を払うものがあり、使える量や選べるモデルがプランで変わります。

    有料のプランでも、使える量には上限があります。プランの中身は変わりやすいので、各社の料金ページで確かめます(このページの下にリンク)。

    会話では:「上限に当たった」「リミットが来た」は、プランで使える量を使い切った、という意味です。

    しくみの図アプリのプランと API
  17. 17 / 21

    もう1つの使い方が「API」です。自分のプログラムや道具からモデルを直接呼び出し、使ったトークンの量に応じて払います(従量課金)。

    読ませた量(入力)と書かせた量(出力)で単価が別で、単価はモデルごとに違います。2026年10月時点では、3社とも上の段のモデルほど単価が高めです。

    会話では:「API で使うと従量課金、アプリはプランの範囲」——同じモデルでも、払い方が違います。

    しくみの図アプリのプランと API
  18. 18 / 21

    アプリのプランと API の料金は別々です。AI コーディングの道具は、プランのアカウントでログインしても、API キーを設定しても使えます。

    有料のプランに入っていても、API の分はふつう別に払います(API に使える分が付くプランもあります)。どちらで使うかで、払い方や選べるモデルが変わることがあります。

    会話では:「API キーで動かす」「サブスクのアカウントでログインする」は、2つの払い方のどちらで使うかの話です。

    しくみの図アプリのプランと API
  19. 19 / 21

    モデルを自分のパソコンで動かすやり方もあります(ローカル LLM)。手元で動かせる形で公開されたモデルを入れて使います。

    長所は、読ませた中身を会社のサーバーへ送らずに済み、ネットが無くても動くこと。短所は、メモリなどの性能が要り、動かせるのが小さめのモデルなので、難しい作業には向かないことが多い点です。

    会話では:「ローカル LLM で試してみた」は、会社のサーバーではなく、自分のパソコンでモデルを動かした、という意味です。

    しくみの図モデルが動く場所:会社のサーバーと自分のパソコン
  20. 20 / 21

    モデルを比べるときは、よく「ベンチマーク」の点数が使われます。決まった問題集を解かせて、正しく解けた割合などを比べるものです。

    点数は手がかりになりますが、問題集はあなたの作業そのものではありません。Google の用語集も、評価は「ある作業にいちばん合う LLM」を見つけるのに役立つ、と説明しています。

    会話では:「ベンチマークでは上だけど、自分の作業ではどう?」と確かめる言い方をします。

    しくみの図ベンチマークと、自分の作業で試すこと
  21. 21 / 21

    いちばん確かなのは、自分の作業で試すことです。同じ頼みを2つのモデル(や設定)に出して、結果・速さ・料金を見比べます。

    Anthropic は実際の入力で比べるよう、OpenAI は同じ入力で比べて質が足りる中でいちばん軽い設定を残すよう、すすめています。名前や点数より、この確かめ方が長く使えます。

    会話では:「同じ頼みを2つのモデルでやらせて、比べてみよう」——迷ったときの確かめ方です。

    しくみの図ベンチマークと、自分の作業で試すこと

この章のまとめ

  1. 1

    アプリ(製品)とモデルは別です。ChatGPT はアプリ、GPT はモデル。Claude と Gemini はアプリとモデルが同じ名前なので、モデルを指すときは後ろの名前と番号まで言います。AI コーディングの道具も製品の1つで、中のモデルを切り替えられます。

  2. 2

    各社とも、大きいモデルから小さいモデルまでの系列を出しています。大きいモデルや多めの考える量は難しい作業に、小さいモデルや少ない考える量は決まった作業・量の多い作業・急ぐ場面に向く、という傾向です。迷ったら、自分の作業で同じ頼みを比べ、足りる中でいちばん軽いものを使います。

  3. 3

    払い方は、アプリのプランと API の2通りで、請求は別々です。プランは毎月決まった額で使える量に上限があり、API は使ったトークンの量で払う従量課金です。名前・料金・上限は変わるので、いつも各社の公式のページで確かめます。

この章の内容を確かめた情報源

確認日: 2026年10月25日

次の章第4章 チャットからエージェントへ話して答えるだけの AI と、ファイルを読み書きしてコマンドを動かす AI エージェントの違い。

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