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AIコーディングをはじめよう

第14章・自分用に育てる

MCP:外のサービスとつなぐ

AI エージェントは、作業フォルダーの中のファイルを読み書きし、コマンドを動かして作業します(第4章)。でも仕事の情報は、課題の管理のサービスやチャット、データベースなど、フォルダーの外にもあります。それを AI に見せるたびに、人が写して貼り付けていては大変です。

MCP(Model Context Protocol)は、AI のアプリを外のサービスや道具とつなぐための共通の決まりです。「GitHub の MCP をつなぐ」と言えば、GitHub の窓口になるプログラム(MCP サーバー)を AI のアプリにつないで、AI が GitHub を扱う道具を使えるようにすることです。この章では、そのしくみと、Claude Code でのつなぎ方を見ます。

道具が増えると、AI ができることも増えます。そのぶん、つなぐ前に確かめることがあります。誰が作ったサーバーか、何ができるようになるか、秘密の値(アクセストークンのように、人に見せてはいけない値。第18章)をどう渡すか、そして外から入ってくる文にまぎれた指示(プロンプトインジェクション)です。

この章で見ること
外のサービスとつなぐ困りごと、共通の決まり MCP、MCP サーバーと MCP クライアント、道具が増えてコンテキストに入ること、道具を使う流れと外へ出る情報、ローカルとリモート、Claude Code でのつなぎ方と許可の画面、.mcp.json と置き場所、つなぐ前に確かめること、3社の対応を、図とターミナルの画面で順に見ます。
読み終わると
「MCP サーバーをつなぐ」が何をすることか分かり、つなぐ前に確かめることを言える
前の章までに知っていること
第4章の「ツール(道具)」「ツールの呼び出し」「ハーネス」と、第2章の「コンテキストウィンドウ」が分かっていれば読めます。ターミナルの画面が出てきますが、読むだけで大丈夫です。
読む時間の目安
15分ほど

この章で出てくる言葉

分かる言葉は読み飛ばして構いません。途中で分からない言葉が出たら、ここに戻ってくるか、用語集で探してください。

MCP(Model Context Protocol)(エムシーピー(モデル コンテキスト プロトコル))
AI のアプリを、外のサービスや道具とつなぐための共通の決まり。Anthropic が 2024 年に公開し、いまは Claude Code・Codex・Antigravity CLI など多くのアプリが対応しています。公式は「AI のアプリの USB-C ポートのようなもの」とたとえています。
プロトコル
機械どうしがやりとりするときの決まり(何を、どんな形で送り、どう返すか)。決まりが同じなら、作った会社が違っても話が通じます。
MCP サーバー(エムシーピー サーバー)
外のサービスや道具の「窓口」になる小さなプログラム。AI が使える道具(ツール)を MCP の決まりで差し出し、頼まれたら代わりにサービスとやりとりします。「GitHub の MCP」は、GitHub の MCP サーバーのことです。
MCP クライアント(エムシーピー クライアント)
AI のアプリの側で、MCP サーバーにつないで道具を使う部分。公式の説明では、Claude Code のような AI のアプリを「ホスト」と呼び、ホストがつなぐサーバーごとに MCP クライアントを1つずつ作ります。
ローカルの MCP サーバー
あなたのパソコンの中で動く MCP サーバー。AI のアプリが起動します。あなたのアカウントで読めるファイルは読めるので、作った人が信頼できるかを確かめてから入れます。
リモートの MCP サーバー
インターネットの先(サービスの側)で動く MCP サーバー。URL を書いてつなぎます。ログインが要るものは、ブラウザでそのサービスにログインして使えるようにします。あなたのパソコンの中ではプログラムを動かしません。
.mcp.json(ドット エムシーピー ジェイソン)
Claude Code で、プロジェクトのフォルダーの一番上に置く MCP の設定ファイル。どのサーバーを、どうつなぐかを書きます。Git で共有すると、チームの全員が同じサーバーを使えます。
アクセストークン
サービスに「この人の代わりに使ってよい」と示すための長い文字列(たとえるなら合い言葉)。人に見せたり、共有するファイルに書いたりしません。第2章の LLM の「トークン」とは別のものです。

下にスクロールすると、図が1つずつ動いて説明が進みます。見逃したら、スクロールを戻せば同じところが巻き戻ります。図は、しくみを説明するために描いた模式図です。実際のアプリの画面ではありません。

  1. 01 / 21

    仕事の情報は、作業フォルダーの外にもあります。課題の管理・チャット・データベースなどです。それを AI に見せるとき、人が写して貼っていませんか。

    Claude Code の説明は、ほかの道具から会話へ写して貼っていると気づいたら、そのサービスを MCP でつなぐとよい、としています。

    会話では:「課題の中身を毎回コピペしてる」——その手間をなくすのが、この章の MCP です。

    しくみの図外のサービスの中身を、人が写している
  2. 02 / 21

    共通の決まりが無いと、AI のアプリとサービスの組ごとに、別々のつなぎ方を作ることになります。つなぐ先が増えるほど、作るものが増えます。

    Anthropic は、新しいデータの置き場所ごとに専用のつなぎ方が要り、広げにくかった、と説明しています。

    しくみの図共通の決まり(MCP)でつなぐ
  3. 03 / 21

    MCP(Model Context Protocol)は、AI のアプリと外のサービスをつなぐ共通の決まり(プロトコル)です。同じ形でつなぐので、MCP に対応したどのアプリからも使えます。

    Anthropic が 2024 年に公開しました。公式は「AI のアプリの USB-C ポートのようなもの」とたとえています。差し込み口の形が決まっていれば、いろいろな機器を同じ口でつなげる、というたとえです。

    会話では:「この製品は MCP に対応している」は、この共通の決まりでつなげる、という意味です。

    しくみの図共通の決まり(MCP)でつなぐ
  4. 04 / 21

    MCP サーバーは、外のサービスの窓口になる小さなプログラムです。AI が使える道具を差し出し、頼まれた仕事をサービスとやりとりして行います。

    MCP 公式の例は、ファイル・データベース・GitHub・Slack・カレンダーなどのサーバーです。サービスの会社が出すもの、ほかの人が作ったもの、自分で作るものがあります。

    会話では:「GitHub の MCP」「Notion の MCP」のように、サービスの名前を付けて呼ばれます。

    しくみの図MCP サーバーと MCP クライアント
  5. 05 / 21

    つなぐ側の AI のアプリには、MCP クライアントという部分があります。つなぐサーバーごとに1つずつ、つながりを保ちます。

    MCP 公式は、Claude Code のような AI のアプリを「ホスト」と呼びます。第4章で見たハーネス(LLM を包むアプリ)が、MCP ではホストです。

    会話では:「Claude Code は MCP クライアントとして動く」は、Claude Code が MCP サーバーにつないで道具を使える、という意味です。

    しくみの図MCP サーバーと MCP クライアント
  6. 06 / 21

    MCP サーバーをつなぐと、AI が使える道具の一覧が増えます。どの道具をいつ使うかは、ほかの道具と同じく AI が頼みに合わせて選びます。

    サーバーは道具のほかに、読ませる資料(リソース)や、決まった頼み方のひな形(プロンプト)も出せます。この章では道具を見ます。

    会話では:「MCP サーバーを足したら道具が増えた」は、この一覧に新しい道具が並んだ、という意味です。

    しくみの図つないだサーバーの道具が加わる
  7. 07 / 21

    つないだサーバーの道具の名前と説明は、会話を始めるたびにコンテキストに入ります。サーバーを増やすほど、場所を取ります。

    Claude Code は、ふだんは道具の名前とサーバーの説明だけを入れておき、使うときに詳しい中身を探して読み込みます。それでも、使わないサーバーを外すと場所が空きます。

    会話では:「MCP を入れすぎるとコンテキストを食う」——使うサーバーだけをつないでおこう、という意味です。

    しくみの図つないだ道具も、コンテキストに入る
  8. 08 / 21

    道具を使うときは、LLM がツールの呼び出しを書き、アプリが MCP サーバーに頼みます。サーバーがサービスとやりとりし、結果が会話に戻ります。

    第4章の「書くのは LLM、動かすのはアプリ」と同じ形です。間に MCP サーバーが入って、外のサービスとのやりとりを受け持ちます。

    会話では:「MCP の呼び出しが失敗した」は、この途中(サーバーへの頼み・サービスとのやりとり)のどこかでうまくいかなかった、ということです。

    しくみの図MCP の道具を使うときの流れ
  9. 09 / 21

    このとき、呼び出しの中身(探す言葉・書き込む文など)はサーバーへ送られます。サーバーが返した結果は、そのまま会話に入って AI が読みます。

    送る中身は、会話の流れから AI が決めて書きます。どの道具に何を渡すのかは、使う前の許可の画面で確かめられます(このあと見ます)。

    会話では:「その MCP にどこまで渡していい?」——送る中身と、返ってくる結果の両方を気にする、という話です。

    しくみの図MCP の道具を使うときの流れ
  10. 10 / 21

    MCP サーバーには、あなたのパソコンの中で動くもの(ローカル)があります。AI のアプリが、サーバーのプログラムを起動してつなぎます。

    ローカルのサーバーは、あなたのアカウントで読めるファイルや、パソコンに置いた秘密の値に届きます。ブラウザやファイルなど、手元のものを扱う道具に使います。

    会話では:「ローカルの MCP を入れる」は、そのサーバーのプログラムを、自分のパソコンで動かすことでもあります。

    しくみの図ローカルの MCP サーバーと、リモートの MCP サーバー
  11. 11 / 21

    もう1つは、インターネットの先(サービスの側)で動くもの(リモート)です。URL を書いてつなぎ、ログインが要るものはブラウザでログインします。

    リモートのサーバーは、あなたのパソコンの中でプログラムを動かしません。MCP 公式の注意書きは、手元のものを扱わないサーバーなら、リモートの版を選ぶよう勧めています。

    会話では:「Needs authentication と出ている」は、そのリモートのサーバーに、まだログインしていないという表示です(Claude Code)。

    しくみの図ローカルの MCP サーバーと、リモートの MCP サーバー
  12. 12 / 21

    Claude Code では、起動する前のターミナルで claude mcp add と打ってつなぎます。名前と、サーバーを動かすコマンドを書きます。

    図は、練習用のローカルのサーバー notes(架空)を足したところです。リモートのサーバーなら claude mcp add --transport http 名前 URL の形です。

    会話では:「GitHub の MCP をつなぐ」は、この claude mcp add で GitHub のサーバーを足すことです。

    ~/practice
  13. 13 / 21

    claude mcp list で、つないだサーバーが応えるかを確かめます。Connected と出れば使える状態です。

    実物では Connected の前に印が付きます。Needs authentication はログイン(かトークンの設定)がまだ、Failed to connect はサーバーが応えなかった、という意味です。

    会話では:「/mcp で接続を確かめて」——Claude Code の中では /mcp で、サーバーの状態や道具の一覧を見られます。

    ~/practice
  14. 14 / 21

    Claude Code を起動します。図は、道具を使う前に人へ聞くモード(manual。第10章)にした画面です。

    auto モードでは、別の AI が呼び出しを確かめ、危なそうなものだけを止めます。公式は、auto モードでも安全が保証されるわけではない、と書いています。

    ~/practice
  15. 15 / 21

    ふつうに頼むだけです。サーバーの名前を言わなくても、AI が頼みに合う道具を選びます。

    会話では:「MCP 経由で探して」と言わなくても大丈夫です。合う道具があれば、AI がそれを使います。

    ~/practice
  16. 16 / 21

    MCP の道具を使う前に、許可を求められます。どのサーバーのどの道具に、何を渡すのかが出ます。

    (MCP) の印で、MCP サーバーの道具だと分かります。query の行が、サーバーへ送る中身です。読んでから選びます。

    会話では:「渡す中身を見てから許可して」——頼んだことと関係のない中身なら、No を選んで止めます。

    ~/practice
  17. 17 / 21

    チームで同じサーバーを使うなら、プロジェクトの一番上の .mcp.json に書いて、Git で共有します。リモートは url、ローカルは command を書きます。

    このファイルが入ったリポジトリで Claude Code を初めて起動すると、そのサーバーを使うかを聞かれます。リポジトリが勝手にプログラムを動かさないためです。

    会話では:「.mcp.json をコミットしておいて」は、チームの全員が同じ MCP サーバーを使えるようにして、という意味です。

    しくみの図.mcp.json(プロジェクトで共有する MCP の設定)
  18. 18 / 21

    置き場所は3つあります。claude mcp add に何も付けなければ、「自分だけ・このプロジェクトだけ」(local)です。

    秘密の値が要るサーバーは、Git に入れない local か user に置きます。Claude Code では、.mcp.json に値そのものではなく、各自のパソコンに置いた値の名前を書いて読み込ませることもできます。

    会話では:「その MCP は user スコープで入れておいて」は、どのプロジェクトでも使えるようにして、という意味です。

    しくみの図MCP サーバーの置き場所(Claude Code)
  19. 19 / 21

    つなぐ前に確かめることは、主に4つです。誰が作ったか、何ができるようになるか、秘密の値をどう渡すか、本当に要るかです。

    Anthropic は、自分で作るか、信頼できる提供元のサーバーを使うよう勧めています。公式の一覧に載っていても、安全が確かめられたという意味ではありません。

    会話では:「信頼できない MCP はつながない」——作った人が分からないサーバーは入れない、ということです。

    しくみの図つなぐ前に確かめること
  20. 20 / 21

    もう1つの危険がプロンプトインジェクション(第10章)です。サーバーが外から取ってきた文に、AI への指示がまぎれこんでいることがあります。

    AI は道具の結果や道具の説明も読んで動くので、まぎれた指示に従ってしまうおそれがあります。Claude Code にも防ぐしくみはありますが、公式は「完全に防げるしくみは無い」と書いています。

    会話では:「その MCP は外の文を読むから、プロンプトインジェクションに気をつけて」のように使います。

    しくみの図プロンプトインジェクション
  21. 21 / 21

    MCP は、3社のコーディングエージェントのどれでも使えます。つなぎ方と設定ファイルの場所は製品ごとに違います。

    以前からある Gemini CLI もありますが、Google は最新の Gemini モデルでのコーディングには Antigravity CLI を勧めています(2026年10月時点)。

    会話では:「Codex にも同じ MCP をつないだ」のように、同じサーバーを別の製品で使い回すこともあります。

    しくみの図コーディングエージェントの MCP(2026年10月時点)

この章のまとめ

  1. 1

    MCP は、AI のアプリと外のサービスをつなぐ共通の決まりです。外のサービスの窓口になるのが MCP サーバー、AI のアプリの側でつなぐのが MCP クライアントです。サーバーをつなぐと AI の道具が増え、AI が頼みに合わせて使います。道具の名前と説明はコンテキストに入るので、使うサーバーだけをつなぎます。

  2. 2

    サーバーには、パソコンの中で動くローカルと、インターネットの先で動くリモートがあります。Claude Code では claude mcp add でつなぎ、claude mcp list や /mcp で状態を確かめます。チームで使うなら .mcp.json を Git で共有し、秘密の値はそこに書きません。

  3. 3

    つなぐ前に、誰が作ったか・何ができるようになるか・秘密の値の渡し方・本当に要るかを確かめます。外から入ってくる文や道具の説明にまぎれた指示(プロンプトインジェクション)にも気をつけ、道具を使う前の許可の画面では、渡す中身を読んでから選びます。

この章の内容を確かめた情報源

確認日: 2026年10月25日

次の章第15章 フック:決まった時に必ず動かすファイルを書いたあと・コマンドを動かす前など、決まったタイミングで必ず動く処理を仕込む。

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