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AIコーディングをはじめよう

第17章・自分用に育てる

ハーネスを整える

第12章から第16章で、指示ファイル・スキル・MCP・フック・サブエージェントを1つずつ見てきました。どれも「AI に何かを覚えさせる・させる」しくみに見えるので、「結局、これはどこに書けばいいの?」と迷いやすいところです。

この章では、それらを「ハーネスを整える」という1つの見方でまとめます。ハーネスは、第4章で見た、LLM を包んで動かすアプリの側のしくみです。そのうち自分で足したり変えたりできる部分を、「したいこと」から「置く場所」を選ぶ1枚の地図にします。

あわせて、それらをまとめて配る・入れるプラグイン、使いながら育てるやり方、3社の対応を見ます。読み終わるころには、「それはスキルにしよう」「フックで止めよう」と言われたときに、なぜそこなのかが分かるはずです。

この章で見ること
ハーネスの復習と、自分で整えられる部分がそれぞれ効くとき、何をどこに置くかの地図、お願いとしくみの違い、練習用のプロジェクトでの置き方、コンテキストの使い方、プラグイン、使いながら育てるやり方、3社の対応を、図で順に見ます。
読み終わると
「ハーネス」が何を指すかが分かり、したいことに合わせて、指示ファイル・スキル・MCP・フック・サブエージェント・許可の設定・プラグインのどれに置くかを選べる
前の章までに知っていること
ハーネス(第4章)。自分で作るコマンド(第8章)。許可の設定(第10章)。指示ファイル(第12章)・スキル(第13章)・MCP(第14章)・フック(第15章)・サブエージェント(第16章)が、それぞれ何をするしくみか。
読む時間の目安
15分ほど

この章で出てくる言葉

分かる言葉は読み飛ばして構いません。途中で分からない言葉が出たら、ここに戻ってくるか、用語集で探してください。

プラグイン
スキル・サブエージェント・フック・MCP サーバーなどを1つのフォルダーにまとめ、まとめて入れたり配ったりできるようにした包み。Claude Code・Codex・Antigravity CLI にあります。
マーケットプレイス
プラグインの一覧(カタログ)。どのプラグインをどこから取ってくるかが書いてあり、足しておくと、そこに載っているプラグインを名前で入れられます。一覧の作り手が中身を保証するとは限りません。
ハーネスエンジニアリング
OpenAI が、AI に作業させるための環境(指示ファイル・ドキュメント・機械で確かめるしくみ)を整えた取り組みを書いた記事(2026年2月)の題名に使った言葉。この章の「ハーネスを整える」と近い話です。

下にスクロールすると、図が1つずつ動いて説明が進みます。見逃したら、スクロールを戻せば同じところが巻き戻ります。図は、しくみを説明するために描いた模式図です。実際のアプリの画面ではありません。

  1. 01 / 19

    ハーネスは、LLM を包んで動かすアプリの側のしくみでした(第4章)。Claude Code がハーネスで、中で考える LLM が Claude です。

    Anthropic の用語集では、ファイルの読み書き・コマンドの実行・許可の確かめ・指示ファイルなどの読み込み・くり返しを用意するのがハーネスです。OpenAI も Codex のしくみをハーネスと呼んでいます。

    会話では:「モデルを変える」は中の LLM を取りかえる話、「ハーネスを整える」はその周りのしくみを自分の作業に合わせる話です。

    しくみの図ハーネスと、自分で整えられる部分
  2. 02 / 19

    ハーネスには、最初から入っている部分と、自分で足したり変えたりできる部分があります。この章は、後ろの部分を整える話です。

    自分で整えられるのは、第12〜16章で1つずつ見た指示ファイル・スキル・サブエージェント・フック・MCP と、許可の設定(第10章)、この章で見るプラグインなどです。

    会話では:「Claude Code の設定を整えておこう」と言われたら、こうしたファイルや設定を、そのプロジェクトに合わせて用意しておく、という意味です。

    しくみの図ハーネスと、自分で整えられる部分
  3. 03 / 19

    足したものは、効くときがそれぞれ違います。会話の始めに読まれるもの、要るときに使われるもの、決まった時に必ずはたらくものがあります。

    指示ファイルは始めに全文が読まれます。スキルは名前と説明、MCP の道具は名前だけが始めに入り、使うときに中身が入ります。フックと許可の設定は、道具を使う前後などに毎回はたらきます。

    会話では:「それは毎回読ませたいのか、要るときだけでいいのか」——置き場所を決めるときに、まず考えることです。

    しくみの図それぞれが効くとき
  4. 04 / 19

    何をどこに置くかを、1枚の地図にまとめます。いつも知っていてほしい決まりは指示ファイル、ときどき要る手順や資料はスキルです。

    指示ファイルは毎回全文が読まれるので、どの作業にも効く短い決まりだけを書きます。デプロイの手順のように、ある作業のときだけ要るものはスキルにします(第12・13章)。

    会話では:「それは毎回要る? 要らないならスキルに」——CLAUDE.md を短く保つための、よくある分け方です。

    しくみの図何をどこに置くか:したいことから選ぶ地図
  5. 05 / 19

    自分で呼んで始めたい手順は、/名前 で呼ぶスキルにします。外のサービスのデータを見たり操作したりするなら MCP です。

    Claude Code では、自分で作るコマンドも、いまはスキルとして作ります(第8・13章)。MCP がつなぐ道具を足し、スキルがその道具の上手な使い方を教える、という組み合わせもできます(第14章)。

    会話では:「Slack に送るのは MCP、送る文の決まりはスキルに書く」のように、つなぐ役と手順の役を分けて話します。

    しくみの図何をどこに置くか:したいことから選ぶ地図
  6. 06 / 19

    毎回必ず動かしたい処理はフックです。調べものに大量のファイルを読ませたいけれど、会話は散らかしたくないなら、サブエージェントに任せます。

    フックは AI の判断を待たず、決まったタイミングでハーネスが動かします(第15章)。サブエージェントは別のコンテキストで作業して、結論だけを返します(第16章)。

    会話では:「書いたら整形するのはフックで」「ログを全部読むのはサブエージェントに任せて、結論だけ聞こう」のように使い分けます。

    しくみの図何をどこに置くか:したいことから選ぶ地図
  7. 07 / 19

    絶対にさせたくない操作は、許可の設定(deny)やフックで止めます。同じ一式をほかのプロジェクトや人にも使うなら、プラグインにまとめます。

    許可の設定(第10章の許可のルール。allow・ask・deny)は、AI が道具を使う前にハーネスが確かめる決まりです。プラグインは、この章の後半で見ます。迷ったら、まず指示ファイルから始めて大丈夫です。

    会話では:「git push は deny に入れておいて」は、指示ファイルでお願いするのではなく、設定で止めてほしい、という頼み方です。

    しくみの図何をどこに置くか:したいことから選ぶ地図
  8. 08 / 19

    地図の青は、AI が読んで従う「お願い」です。黄のフックと許可の設定は、ハーネスが毎回必ず動かしたり止めたりする「しくみ」です。

    Claude Code の公式は、「.env を編集しない」と指示ファイルやスキルに書くのはお願いで保証ではなく、必ず守らせたいならフックにする、と説明しています(.env は秘密の値を書くファイル。第18章)。長い会話などでは、お願いは守られないことがあります。

    会話では:「CLAUDE.md に書いたのに守られない」と言われたら、書き方を直すか、必ず守らせたいならフックや許可の設定に移す、という話になります。

    しくみの図お願い(AI が読む)と、しくみ(ハーネスが必ず動かす)
  9. 09 / 19

    たとえば第13章のおみくじのプロジェクトなら、こう置けます。どれもプロジェクトのフォルダーの中のファイルです。

    Claude Code では、決まりは CLAUDE.md、スキルは .claude/skills/、サブエージェントは .claude/agents/、MCP は .mcp.json、許可の設定とフックは .claude/settings.json に書きます。Git に入れれば、チームで同じものを使えます。

    会話では:「この手順は skills に、この止め方は settings.json に」と、置く場所まで言えると話が早くなります。

    しくみの図練習用のプロジェクトでの置き場所
  10. 10 / 19

    足したものの多くは、コンテキスト(第9章)の場所を使います。足しすぎると場所が減るだけでなく、大事な決まりが埋もれることもあります。

    Claude Code の公式は、指示ファイルは毎回全文、スキルは名前と説明、MCP の道具は名前が入ると説明しています。サブエージェントは別の箱で作業し、フックは結果を返さないかぎり場所を使いません。

    会話では:「スキルや MCP を入れすぎて、コンテキストが重い」と言われたら、使っていないものを外して軽くする話です。

    しくみの図足したものが使うコンテキスト
  11. 11 / 19

    プラグインは、スキル・サブエージェント・フック・MCP サーバーなどを1つのフォルダーにまとめて、まとめて入れられるようにした包みです。

    Claude Code では、.claude-plugin/plugin.json に名前と説明を書きます。プラグインのスキルは「プラグインの名前:スキルの名前」の形で呼ぶので、ほかのプラグインと名前がぶつかりません。

    会話では:「チームの Claude Code の設定をプラグインにまとめて配る」は、この包みを作って、ほかの人やプロジェクトでも入れられるようにする話です。

    しくみの図プラグインの中身(Claude Code の場合)
  12. 12 / 19

    プラグインの多くは、マーケットプレイスという一覧から入れます。Claude Code では、/plugin で一覧を開いて選びます。

    マーケットプレイスは、どのプラグインをどこから取ってくるかを書いたカタログです。Claude Code は、ターミナルで初めて起動したときに Anthropic の公式の一覧を足します。入れるときに、効く範囲を選びます。

    会話では:「公式のマーケットプレイスから入れる」「会社のマーケットプレイスを足す」のように話します。

    しくみの図マーケットプレイスからプラグインを入れる
  13. 13 / 19

    人が作ったプラグインを入れる前には、中身を確かめます。プラグインは、あなたのパソコンで、あなたと同じ権限でコマンドを動かせるからです。

    公式は、フックが動かすコマンドや MCP サーバーの中身まで読んでから入れるよう勧めています。入れたプラグインのスキルの説明は毎回コンテキストに入るので、使わないものは止めます。

    会話では:「よさそうなプラグインでも、中身を読んでから入れる」「使っていないプラグインは止める」が、上手な使い方の基本です。

    しくみの図プラグインを入れる前に確かめること
  14. 14 / 19

    ハーネスは、最初から全部そろえなくてかまいません。困ったことが起きたら、それに合う場所に1つずつ足していきます。

    Claude Code の公式も、まず指示ファイルから始め、合図が来たら足していくよう勧めています。たとえば、同じ間違いを2回したら指示ファイルに、同じ手順を何度も貼っているならスキルにします。

    会話では:「まず CLAUDE.md だけで始めて、困ったら足そう」は、無理のない始め方です。

    しくみの図最初から全部そろえない:合図が来たら足す
  15. 15 / 19

    横道の作業で会話があふれるならサブエージェント、毎回必ずやらせたいならフック、別のプロジェクトでも同じ設定が要るならプラグインです。

    Codex の公式も、同じ間違いを2回したら AGENTS.md を直す、同じ頼み方や直しをくり返すならスキルにする、と勧めています。

    会話では:「この手順、貼るのが3回目だからスキルにしよう」のように、くり返しの回数が足すきっかけになります。

    しくみの図最初から全部そろえない:合図が来たら足す
  16. 16 / 19

    育てるのは、足すことだけではありません。守られない決まりは書き方を見直し、AI が言われなくてもできることは消します。

    公式は、指示ファイルをコードのように扱い、うまくいかないときに見直して、ときどき削るよう勧めています(1つの CLAUDE.md は 200 行未満が目安。2026年10月時点)。Antigravity CLI の /learn は、会話で直したことを書き残す案を AI に作らせます。

    会話では:「今の直し、CLAUDE.md に書いておいて」「CLAUDE.md を見直して、要らない行を削って」と、AI に頼むこともできます。

    しくみの図使いながら育てる
  17. 17 / 19

    Codex(OpenAI)と Antigravity CLI(Google)にも、同じ役目のしくみがあります。名前と置き場所が少しずつ違います。

    スキルを自分で呼ぶとき、Claude Code と Antigravity CLI は / に続けて名前、Codex は $ に続けて名前を打ちます(第13章)。どれも2026年10月時点の公式の文書で確かめた名前です。

    会話では:「Codex なら AGENTS.md、Claude Code なら CLAUDE.md」のように、使うツールに合わせて置き場所を言いかえます。

    しくみの図3社のツールで、同じ役目のしくみ
  18. 18 / 19

    必ず動かす・させない・まとめるしくみも、3社にあります。同じ「ルール」という名前でも、ツールによって指すものが違うので気をつけます。

    Antigravity CLI の「ルール」は指示ファイル、Codex の「rules」はコマンドを許すかどうかの決まりです。以前からある Gemini CLI もありますが、Google は最新の Gemini モデルでのコーディングには Antigravity CLI を勧めています(2026年10月時点)。Gemini CLI の拡張機能はプラグインとして取り込めます。

    会話では:「Codex の rules」と「Antigravity のルール」は別のもの。ツールの名前と一緒に言うと、取り違えません。

    しくみの図3社のツールで、同じ役目のしくみ
  19. 19 / 19

    ハーネスを整えるとは、AI の周りのしくみを、自分の作業に合わせて少しずつ用意していくことです。迷ったら、したいことから地図で選びます。

    「ハーネスエンジニアリング」という言葉も聞きます。OpenAI が、AI に作業させるための環境(指示ファイル・ドキュメント・機械で確かめるしくみ)を整えた取り組みを書いた記事(2026年2月)の題名に使った言葉です。

    会話では:「AI が同じところでつまずくなら、頼み方だけでなく、ハーネス(指示・設定・確かめるしくみ)で直せないか考えよう」——この章の考え方です。

    しくみの図ハーネスと、自分で整えられる部分

この章のまとめ

  1. 1

    ハーネスは、LLM を包んで動かすアプリの側です。そのうち自分で整えられるのが、指示ファイル(第12章)・スキル(第13章)・MCP(第14章)・フック(第15章)・サブエージェント(第16章)・許可の設定(第10章)と、それらをまとめるプラグインです。

  2. 2

    置き場所は「したいこと」で選びます。いつも → 指示ファイル、ときどき・自分で呼ぶ → スキル、外とつなぐ → MCP、必ず → フック、横道の調べもの → サブエージェント、させない → 許可の設定、ほかでも使う → プラグイン。指示ファイルとスキルは AI が読む「お願い」、フックと許可の設定はハーネスが必ず守らせる「しくみ」です。

  3. 3

    最初から全部そろえず、困ったら足し、ときどき削ります。人が作ったプラグインは中身を確かめてから入れます。Codex と Antigravity CLI にも同じ役目のしくみがあり、名前と置き場所が少し違います。秘密の値や外から入る文章など、安全の全体は第18章で見ます。

この章の内容を確かめた情報源

確認日: 2026年10月25日

次の章第18章 セーフガード:AI に読ませてはいけないものと、事故を防ぐしくみAPI キーや個人情報など AI に読ませてはいけないものと、その守り方。外から入る指示や、壊す操作への備えまで、安全の全体像を見る。

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