第20章・複数の AI で進める
オーケストレーション:複数の AI に分けて任せる
第19章では、1つの AI のセッションで、1つの作業を頼むところから取り込むまでを通して見ました。けれども、やることがいくつもたまっていると、1つずつ順番に片づけるのは時間がかかります。
そこで、仕事を分けて、それぞれ別のコンテキストと別の作業フォルダーで動く複数の AI に、同時に任せる進め方があります。束ねる役(指揮役)が計画を立てて仕事を分け、指示を書き、担当の AI の報告を確かめて、1本ずつ取り込みます。これをオーケストレーションと呼びます。「指揮役の AI に任せる」「担当ごとに worktree を切る」「main に rebase してから確かめ直す」は、この進め方の会話でよく出てくる言い方です。
この章では、サブエージェントとの違い、人と指揮役と担当の役目、仕事の分け方、指示の書き方、見張り方、確かめ方、取り込む順番を順に見ます。このサイトを書いたときの実例と、3社のしくみも並べます。
- この章で見ること
- 1つのセッションと複数のセッションの違い、サブエージェントとの違い、指揮役の6つの仕事、人が決めること、仕事の分け方と同じファイルの扱い、worktree、指示に書く5つのこと、見張り方、証拠での確かめ方、1本ずつの取り込みと rebase、このサイトの実例、トークン、向く仕事、3社のしくみ、見張る道具を、図で順に見ます。
- 読み終わると
- 1つの AI と進めるのと、複数の AI を並べて指揮するのとの違いが分かり、仕事の分け方・指示の書き方・確かめて取り込む順番を説明できる
- 前の章までに知っていること
- 第19章(通しでやってみる)の流れが分かっていれば読めます。第11章(Git と GitHub)のブランチとマージ、第16章(サブエージェント)の worktree、第7章(頼み方と確かめ方)の終わりの条件をよく使います。
- 読む時間の目安
- 20分ほど
この章で出てくる言葉
分かる言葉は読み飛ばして構いません。途中で分からない言葉が出たら、ここに戻ってくるか、用語集で探してください。
- オーケストレーション
- 複数の AI を1つの目的に向けて束ね、仕事を分けて任せ、結果を確かめてまとめること。計画・分ける・指示・見張る・確かめる・取り込むを受け持つ役を、指揮役と呼びます。
- 指揮役(オーケストレーター)
- オーケストレーションで、複数の AI を束ねる役。計画を立てて仕事を分け、指示を書き、担当の結果を確かめて取り込みます。自分では作らず、任せることに徹します。人がしても、AI に任せてもかまいません。
- 担当(ワーカー)
- 指揮役から1つの仕事を任される AI。自分の作業フォルダーで作り、流したコマンドの出力や差分といった証拠をつけて報告します。
- rebase(リベース)(リベース)
- 自分のブランチの出発点を、main の新しい先頭に付け替える Git の操作。ほかの変更が main に入ったあと、それに合わせ直してから確かめ直すときに使います。
- コンフリクト(衝突)(コンフリクト)
- 2つのブランチが、同じファイルの同じ所を違うふうに変えていて、Git が自動でまとめられない状態。どちらを残すかを決めて直してから、取り込みます。
- ヘッドレス
- 画面でやりとりせず、頼みを1回渡して、終わったら結果だけを受け取る AI の動かし方。台本(スクリプト)から多くの AI をまとめて動かすときに使います。
下にスクロールすると、図が1つずつ動いて説明が進みます。見逃したら、スクロールを戻せば同じところが巻き戻ります。図は、しくみを説明するために描いた模式図です。実際のアプリの画面ではありません。
01 / 23
第19章では、1つの AI のセッションで、1つの作業を頼むところから取り込むまで通しました。ほかの Issue は、そのあいだ順番を待ちます。
セッションは、AI とのひとつながりの会話です(第6章)。1つずつ片づけるのは確かなやり方ですが、やることが多いと時間がかかります。
02 / 23
そこで、仕事を独立した複数のセッションに分けて、同時に進めます。それぞれが別のコンテキストと、別の作業フォルダーで動きます。
作業フォルダーを分けるのは、第16章の worktree です。どのセッションも、1つの仕事を自分の作業フォルダーで最後までやります。
03 / 23
第16章のサブエージェントは、1つのセッションの中で調べものをして、結論を返す AI でした。この章のセッションは、それぞれが独立しています。
独立したセッションは、書き換え・テスト・コミットまで自分の仕事をやり切って報告します。Claude Code の公式も、この2つを並べ方の別のやり方として分けています。
04 / 23
複数の AI を1つの目的に向けて束ね、計画・分ける・指示・見張る・確かめる・取り込むを受け持つことを、オーケストレーションと言います。
束ねる役を指揮役と呼びます。たとえるなら、オーケストラの指揮者です。指揮役は人がしてもよく、AI に任せることもできます。
05 / 23
指揮役は、計画を立てて仕事を分け、担当ごとの指示を書き、結果を確かめます。自分ではコードを書かず、任せることに徹します。
担当は、1つの仕事を自分の作業フォルダーで進め、証拠をつけて報告します。指揮役が待ちきれず自分で作り始めたら止めるよう、Claude Code の公式は書いています。
06 / 23
人がするのは、最初に頼むこと、計画を承認すること、取り消しにくい操作を決めること、最後の報告を読むことです。
本番に触る・main に入れる・消す、といった操作は人が決めます(第18章)。Claude Code では、ある AI が別の AI に「許可した」と伝えても、人の許可の代わりにはなりません。
07 / 23
指揮役はまず、頼みを独立した仕事に分けます。1つの仕事に担当は1人で、それぞれが1つの成果物を出す大きさにします。
例は第19章の架空の「買い物メモ」の Issue 3つです。#12 と #13 は app.js と app.test.js を、#14 は説明書きの README.md を直します。
08 / 23
#12 と #13 は、どちらも app.js を書き換えます。同じファイルを2人が同時に書き換えると、片方の変更がもう片方を上書きしてしまいます。
並べた AI に同じファイルを同時に触らせないよう、3社とも公式に書いています。ここでは #13 を、#12 を取り込んでから始める順番にしました。
09 / 23
担当には、それぞれ自分の worktree(作業フォルダー)を用意します。ファイルは別々で記録は共有なので、作業中はぶつかりません。
worktree ごとに別のブランチを使います(第11章・第16章)。新しく作った作業フォルダーなので、インストールなど、始める前の準備がいることがあります。
10 / 23
担当への指示には、まず目的と範囲を書きます。範囲は、触ってよいファイルと、してはいけないことです。
担当は、指揮役との会話を引き継がずに始めます。仕事に要る詳しいことは担当を立てるときの指示に書くよう、Claude Code の公式は勧めています。
11 / 23
続けて、終わりの条件・確かめ方・報告の形を書きます。何ができたら終わりで、それをどう示せばよいかが担当に分かります。
成果・制約・確かめ方(テストなど)を書くと、AI が自分で進み具合を確かめられる、と Codex の公式は書いています。終わりの条件は第7章で見ました。
12 / 23
担当が動いているあいだ、指揮役は様子を見張ります。作業中か、確認待ちで止まっていないか、終わったかを見ます。
許可を待って止まった担当は、答えるまで先へ進みません。Claude Code の claude agents の一覧も、作業中・入力待ち・終わったなどを色で分けて見せます。
13 / 23
担当の「終わりました」は、そのまま受け取らず、証拠で確かめます。流したコマンドの出力・差分・終わりの条件を、指揮役が自分で見直します。
Google の Teamwork には、テストが本当に通ったかを実際のコマンドの出力と照らして確かめる係(Auditor)がいます。図の報告と出力は説明のための例です。
14 / 23
確かめた変更から、1本ずつ main に取り込みます。A を入れると main が進み、C は A が入る前の main の上で確かめたことになります。
取り込みは Pull Request で、確かめてからマージします(第11章)。Claude Code の裏で動くセッションは、main への push やマージを自分ではしない決まりです。
15 / 23
C は、自分のブランチを新しい main の上に付け替えてから、もう一度確かめます。この付け替えを rebase(リベース)と言います。
同じ所を違うふうに変えていると Git は自動でまとめられず、コンフリクト(衝突)になります。合わせ直すと、それがここで分かります。
16 / 23
このサイトも、この進め方で書きました。指揮役の AI 1つと章ごとの担当の AI(同時に10ほど)が、1章に1人・1人に1つの worktree で書いています。
つまずきもありました。取り込みのたびに全部の章を確かめ直して main の進みに追いつけなくなり、合わせ直す前にまとめて、ほかの章を消しかけたこともあります。
17 / 23
並べると早く終わりますが、使うトークンは人数ぶん増えます。担当はそれぞれ自分のコンテキストで一から調べ、指揮役も報告を読みます。
並べたセッションはそれぞれ使用量を使うので、並べた数だけ早く上限に近づく、と Claude Code の公式は書いています。トークンは第2章で見ました。
18 / 23
並べるのに向くのは、互いに独立した仕事がいくつもあるときです。順番に頼る仕事や同じファイルを触る仕事は、1つのセッションのほうが向きます。
すぐ終わる小さな変更も、分ける手間のほうがかかります。はじめは少ない数で、書き換えない仕事(見直し・調べもの)から試すよう、Claude Code の公式は勧めています。
19 / 23
3社とも、並べた AI の様子をまとめて見るしくみがあります。名前と、使える範囲はツールごとに違います。
Claude Code は claude agents(研究プレビュー)、Codex は codex cloud list(クラウドのタスク)、Antigravity CLI は /agents(Agent Manager) です。
20 / 23
AI が指揮役になって担当を立て、まとめるしくみもあります。どこまで AI が受け持つかは、ツールによって違います。
Claude Code は エージェントチーム(試験的で、最初は切ってある)、Codex は サブエージェントを並べ、元の会話がまとめるしくみ、Antigravity CLI は /teamwork-preview(有料のプラン) です。
21 / 23
台本(スクリプト)から AI を動かす、ヘッドレスのやり方もあります。claude -p・codex exec・agy -p に頼みを渡すと、結果だけが返ります。
たくさんのファイルに同じ直しを入れるときなどに使います。以前からある Gemini CLI もありますが、Google は最新の Gemini モデルでのコーディングには Antigravity CLI を勧めています(2026年10月時点)。
22 / 23
並べた AI の見張り方は、各社のしくみのほかに、ターミナルの画面を分けて並べる、見張りに向いたターミナルを使う、などがあります。
3つ目の例に、このサイトの作者が作っているオープンソースのターミナル tako(外部サイト・新しいタブで開きます) があり、指揮役と担当の画面を1つのタブに並べます(開発中で、macOS で動き、Windows 版は移植を進めている)。やり方はどれでもかまいません。
23 / 23
1つ取り込むたびに、残りの仕事を合わせ直して、次の仕事へ進みます。輪の中で、担当はそれぞれ第19章の流れを回しています。
Claude Code の公式も、1つのセッションで使いこなせてから並べて増やす順で書いています。書く1つと見直す1つの、2つのセッションで進める例も載っています。
01 / 23
第19章では、1つの AI のセッションで、1つの作業を頼むところから取り込むまで通しました。ほかの Issue は、そのあいだ順番を待ちます。
セッションは、AI とのひとつながりの会話です(第6章)。1つずつ片づけるのは確かなやり方ですが、やることが多いと時間がかかります。
会話では:「Issue が3つたまってる。1つずつだと夕方までかかりそう」——そんなときに、この章の進め方の話が出てきます。
しくみの図1つのセッションで順番に・複数のセッションで同時に02 / 23
そこで、仕事を独立した複数のセッションに分けて、同時に進めます。それぞれが別のコンテキストと、別の作業フォルダーで動きます。
作業フォルダーを分けるのは、第16章の worktree です。どのセッションも、1つの仕事を自分の作業フォルダーで最後までやります。
会話では:「Issue ごとにセッションを分けて、並列で進めよう」のように言います。
しくみの図1つのセッションで順番に・複数のセッションで同時に03 / 23
第16章のサブエージェントは、1つのセッションの中で調べものをして、結論を返す AI でした。この章のセッションは、それぞれが独立しています。
独立したセッションは、書き換え・テスト・コミットまで自分の仕事をやり切って報告します。Claude Code の公式も、この2つを並べ方の別のやり方として分けています。
会話では:「調べものならサブエージェントに、作る仕事が3つならセッションを分けて」のように使い分けます。
しくみの図サブエージェントと、独立したセッション04 / 23
複数の AI を1つの目的に向けて束ね、計画・分ける・指示・見張る・確かめる・取り込むを受け持つことを、オーケストレーションと言います。
束ねる役を指揮役と呼びます。たとえるなら、オーケストラの指揮者です。指揮役は人がしてもよく、AI に任せることもできます。
会話では:「オーケストレーションさせる」「指揮役の AI に任せる」は、この進め方のことです。
しくみの図オーケストレーション:束ねて進める05 / 23
指揮役は、計画を立てて仕事を分け、担当ごとの指示を書き、結果を確かめます。自分ではコードを書かず、任せることに徹します。
担当は、1つの仕事を自分の作業フォルダーで進め、証拠をつけて報告します。指揮役が待ちきれず自分で作り始めたら止めるよう、Claude Code の公式は書いています。
会話では:「指揮役は書かないで、担当に任せて」「担当の報告を待ってから進めて」のように頼みます。
しくみの図人・指揮役・担当の役目06 / 23
人がするのは、最初に頼むこと、計画を承認すること、取り消しにくい操作を決めること、最後の報告を読むことです。
本番に触る・main に入れる・消す、といった操作は人が決めます(第18章)。Claude Code では、ある AI が別の AI に「許可した」と伝えても、人の許可の代わりにはなりません。
会話では:「main に入れるのは私が決める」「取り消せない操作の前は、止めて聞いて」のように、先に線を引いておきます。
しくみの図人・指揮役・担当の役目07 / 23
指揮役はまず、頼みを独立した仕事に分けます。1つの仕事に担当は1人で、それぞれが1つの成果物を出す大きさにします。
例は第19章の架空の「買い物メモ」の Issue 3つです。#12 と #13 は app.js と app.test.js を、#14 は説明書きの README.md を直します。
会話では:「この依頼を、担当1人ずつの仕事に分けて、計画を先に見せて」のように頼みます。
しくみの図仕事を分ける:1つの仕事に1人08 / 23
#12 と #13 は、どちらも app.js を書き換えます。同じファイルを2人が同時に書き換えると、片方の変更がもう片方を上書きしてしまいます。
並べた AI に同じファイルを同時に触らせないよう、3社とも公式に書いています。ここでは #13 を、#12 を取り込んでから始める順番にしました。
会話では:「同じファイルを触る仕事は、並べずに順番にして」と頼むと、ぶつかりを先に避けられます。
しくみの図仕事を分ける:1つの仕事に1人09 / 23
担当には、それぞれ自分の worktree(作業フォルダー)を用意します。ファイルは別々で記録は共有なので、作業中はぶつかりません。
worktree ごとに別のブランチを使います(第11章・第16章)。新しく作った作業フォルダーなので、インストールなど、始める前の準備がいることがあります。
会話では:「担当ごとに worktree を切って、ブランチ名は feat/Issue番号 で」のように指示します。
しくみの図人・指揮役・担当の役目10 / 23
担当への指示には、まず目的と範囲を書きます。範囲は、触ってよいファイルと、してはいけないことです。
担当は、指揮役との会話を引き継がずに始めます。仕事に要る詳しいことは担当を立てるときの指示に書くよう、Claude Code の公式は勧めています。
会話では:「範囲の外のファイルは触らないで」「main には直接入れないで」のように、してはいけないことも書きます。
しくみの図担当への指示に書くこと11 / 23
続けて、終わりの条件・確かめ方・報告の形を書きます。何ができたら終わりで、それをどう示せばよいかが担当に分かります。
成果・制約・確かめ方(テストなど)を書くと、AI が自分で進み具合を確かめられる、と Codex の公式は書いています。終わりの条件は第7章で見ました。
会話では:「終わったら、流したコマンドと出力を報告に貼って」「確かめられなかったことも書いて」のように頼みます。
しくみの図担当への指示に書くこと12 / 23
担当が動いているあいだ、指揮役は様子を見張ります。作業中か、確認待ちで止まっていないか、終わったかを見ます。
許可を待って止まった担当は、答えるまで先へ進みません。Claude Code の
claude agentsの一覧も、作業中・入力待ち・終わったなどを色で分けて見せます。会話では:「止まってる担当はいない?」「確認待ちの担当がいたら、すぐ教えて」のように言います。
しくみの図見張る:いま、どの担当がどうしているか13 / 23
担当の「終わりました」は、そのまま受け取らず、証拠で確かめます。流したコマンドの出力・差分・終わりの条件を、指揮役が自分で見直します。
Google の Teamwork には、テストが本当に通ったかを実際のコマンドの出力と照らして確かめる係(Auditor)がいます。図の報告と出力は説明のための例です。
会話では:「報告をうのみにしないで、テストを流し直して確かめて」のように頼みます。
しくみの図「終わりました」を証拠で確かめる14 / 23
確かめた変更から、1本ずつ main に取り込みます。A を入れると main が進み、C は A が入る前の main の上で確かめたことになります。
取り込みは Pull Request で、確かめてからマージします(第11章)。Claude Code の裏で動くセッションは、main への push やマージを自分ではしない決まりです。
会話では:「確かめたものから1本ずつマージして」のように言います。
しくみの図1本ずつ取り込み、合わせ直してから確かめる15 / 23
C は、自分のブランチを新しい main の上に付け替えてから、もう一度確かめます。この付け替えを rebase(リベース)と言います。
同じ所を違うふうに変えていると Git は自動でまとめられず、コンフリクト(衝突)になります。合わせ直すと、それがここで分かります。
会話では:「main に rebase してから、テストを流し直して」——並べたあとの取り込みで、よく出る言い方です。
しくみの図1本ずつ取り込み、合わせ直してから確かめる16 / 23
このサイトも、この進め方で書きました。指揮役の AI 1つと章ごとの担当の AI(同時に10ほど)が、1章に1人・1人に1つの worktree で書いています。
つまずきもありました。取り込みのたびに全部の章を確かめ直して main の進みに追いつけなくなり、合わせ直す前にまとめて、ほかの章を消しかけたこともあります。
会話では:「確かめ直すのは自分の章だけでいい。全体は最後に指揮役が流す」——このサイトを書くときに決めた分担です。
しくみの図このサイトを書いたとき(2026年10月25日)17 / 23
並べると早く終わりますが、使うトークンは人数ぶん増えます。担当はそれぞれ自分のコンテキストで一から調べ、指揮役も報告を読みます。
並べたセッションはそれぞれ使用量を使うので、並べた数だけ早く上限に近づく、と Claude Code の公式は書いています。トークンは第2章で見ました。
会話では:「並列で回すとトークンを食う」「上限に近いから、担当を減らそう」のように言います。
しくみの図使うトークン18 / 23
並べるのに向くのは、互いに独立した仕事がいくつもあるときです。順番に頼る仕事や同じファイルを触る仕事は、1つのセッションのほうが向きます。
すぐ終わる小さな変更も、分ける手間のほうがかかります。はじめは少ない数で、書き換えない仕事(見直し・調べもの)から試すよう、Claude Code の公式は勧めています。
会話では:「これは小さいから、並べずにこのセッションでやって」のように使い分けます。
しくみの図並べるのに向く仕事・1つのセッションでする仕事19 / 23
3社とも、並べた AI の様子をまとめて見るしくみがあります。名前と、使える範囲はツールごとに違います。
Claude Code は claude agents(研究プレビュー)、Codex は codex cloud list(クラウドのタスク)、Antigravity CLI は /agents(Agent Manager) です。
会話では:「claude agents で、確認待ちの担当がいないか見て」のように、ツールのコマンドで話します。
しくみの図3社の、複数のエージェントを動かすしくみ(2026年10月時点)20 / 23
AI が指揮役になって担当を立て、まとめるしくみもあります。どこまで AI が受け持つかは、ツールによって違います。
Claude Code は エージェントチーム(試験的で、最初は切ってある)、Codex は サブエージェントを並べ、元の会話がまとめるしくみ、Antigravity CLI は /teamwork-preview(有料のプラン) です。
会話では:「Antigravity CLI の /teamwork-preview で、チームに任せてみる」のように言います。
しくみの図3社の、複数のエージェントを動かすしくみ(2026年10月時点)21 / 23
台本(スクリプト)から AI を動かす、ヘッドレスのやり方もあります。
claude -p・codex exec・agy -pに頼みを渡すと、結果だけが返ります。たくさんのファイルに同じ直しを入れるときなどに使います。以前からある Gemini CLI もありますが、Google は最新の Gemini モデルでのコーディングには Antigravity CLI を勧めています(2026年10月時点)。
会話では:「ファイルごとに claude -p を回して」「CI の中で codex exec を動かす」のように言います。
しくみの図3社の、複数のエージェントを動かすしくみ(2026年10月時点)22 / 23
並べた AI の見張り方は、各社のしくみのほかに、ターミナルの画面を分けて並べる、見張りに向いたターミナルを使う、などがあります。
3つ目の例に、このサイトの作者が作っているオープンソースのターミナル tako(外部サイト・新しいタブで開きます) があり、指揮役と担当の画面を1つのタブに並べます(開発中で、macOS で動き、Windows 版は移植を進めている)。やり方はどれでもかまいません。
会話では:「担当の画面を1か所に並べて見張りたい」——見張り方も、道具選びの話になります。
しくみの図並べた AI の見張り方23 / 23
1つ取り込むたびに、残りの仕事を合わせ直して、次の仕事へ進みます。輪の中で、担当はそれぞれ第19章の流れを回しています。
Claude Code の公式も、1つのセッションで使いこなせてから並べて増やす順で書いています。書く1つと見直す1つの、2つのセッションで進める例も載っています。
会話では:「Issue を担当に1つずつ振って、確かめたものから1本ずつマージして」——この一言が、この章の全部です。
しくみの図オーケストレーション:束ねて進める
会話ではこう出てくる(手順ごと)
上の手順の番号と合わせて見てください。
- 01
第19章では、1つの AI のセッションで、1つの作業を頼むところから取り込むまで通しました。ほかの Issue は、そのあいだ順番を待ちます。
「Issue が3つたまってる。1つずつだと夕方までかかりそう」——そんなときに、この章の進め方の話が出てきます。
- 02
そこで、仕事を独立した複数のセッションに分けて、同時に進めます。それぞれが別のコンテキストと、別の作業フォルダーで動きます。
「Issue ごとにセッションを分けて、並列で進めよう」のように言います。
- 03
第16章のサブエージェントは、1つのセッションの中で調べものをして、結論を返す AI でした。この章のセッションは、それぞれが独立しています。
「調べものならサブエージェントに、作る仕事が3つならセッションを分けて」のように使い分けます。
- 04
複数の AI を1つの目的に向けて束ね、計画・分ける・指示・見張る・確かめる・取り込むを受け持つことを、オーケストレーションと言います。
「オーケストレーションさせる」「指揮役の AI に任せる」は、この進め方のことです。
- 05
指揮役は、計画を立てて仕事を分け、担当ごとの指示を書き、結果を確かめます。自分ではコードを書かず、任せることに徹します。
「指揮役は書かないで、担当に任せて」「担当の報告を待ってから進めて」のように頼みます。
- 06
人がするのは、最初に頼むこと、計画を承認すること、取り消しにくい操作を決めること、最後の報告を読むことです。
「main に入れるのは私が決める」「取り消せない操作の前は、止めて聞いて」のように、先に線を引いておきます。
- 07
指揮役はまず、頼みを独立した仕事に分けます。1つの仕事に担当は1人で、それぞれが1つの成果物を出す大きさにします。
「この依頼を、担当1人ずつの仕事に分けて、計画を先に見せて」のように頼みます。
- 08
#12 と #13 は、どちらも app.js を書き換えます。同じファイルを2人が同時に書き換えると、片方の変更がもう片方を上書きしてしまいます。
「同じファイルを触る仕事は、並べずに順番にして」と頼むと、ぶつかりを先に避けられます。
- 09
担当には、それぞれ自分の worktree(作業フォルダー)を用意します。ファイルは別々で記録は共有なので、作業中はぶつかりません。
「担当ごとに worktree を切って、ブランチ名は feat/Issue番号 で」のように指示します。
- 10
担当への指示には、まず目的と範囲を書きます。範囲は、触ってよいファイルと、してはいけないことです。
「範囲の外のファイルは触らないで」「main には直接入れないで」のように、してはいけないことも書きます。
- 11
続けて、終わりの条件・確かめ方・報告の形を書きます。何ができたら終わりで、それをどう示せばよいかが担当に分かります。
「終わったら、流したコマンドと出力を報告に貼って」「確かめられなかったことも書いて」のように頼みます。
- 12
担当が動いているあいだ、指揮役は様子を見張ります。作業中か、確認待ちで止まっていないか、終わったかを見ます。
「止まってる担当はいない?」「確認待ちの担当がいたら、すぐ教えて」のように言います。
- 13
担当の「終わりました」は、そのまま受け取らず、証拠で確かめます。流したコマンドの出力・差分・終わりの条件を、指揮役が自分で見直します。
「報告をうのみにしないで、テストを流し直して確かめて」のように頼みます。
- 14
確かめた変更から、1本ずつ main に取り込みます。A を入れると main が進み、C は A が入る前の main の上で確かめたことになります。
「確かめたものから1本ずつマージして」のように言います。
- 15
C は、自分のブランチを新しい main の上に付け替えてから、もう一度確かめます。この付け替えを rebase(リベース)と言います。
「main に rebase してから、テストを流し直して」——並べたあとの取り込みで、よく出る言い方です。
- 16
このサイトも、この進め方で書きました。指揮役の AI 1つと章ごとの担当の AI(同時に10ほど)が、1章に1人・1人に1つの worktree で書いています。
「確かめ直すのは自分の章だけでいい。全体は最後に指揮役が流す」——このサイトを書くときに決めた分担です。
- 17
並べると早く終わりますが、使うトークンは人数ぶん増えます。担当はそれぞれ自分のコンテキストで一から調べ、指揮役も報告を読みます。
「並列で回すとトークンを食う」「上限に近いから、担当を減らそう」のように言います。
- 18
並べるのに向くのは、互いに独立した仕事がいくつもあるときです。順番に頼る仕事や同じファイルを触る仕事は、1つのセッションのほうが向きます。
「これは小さいから、並べずにこのセッションでやって」のように使い分けます。
- 19
3社とも、並べた AI の様子をまとめて見るしくみがあります。名前と、使える範囲はツールごとに違います。
「claude agents で、確認待ちの担当がいないか見て」のように、ツールのコマンドで話します。
- 20
AI が指揮役になって担当を立て、まとめるしくみもあります。どこまで AI が受け持つかは、ツールによって違います。
「Antigravity CLI の /teamwork-preview で、チームに任せてみる」のように言います。
- 21
台本(スクリプト)から AI を動かす、ヘッドレスのやり方もあります。
claude -p・codex exec・agy -pに頼みを渡すと、結果だけが返ります。「ファイルごとに claude -p を回して」「CI の中で codex exec を動かす」のように言います。
- 22
並べた AI の見張り方は、各社のしくみのほかに、ターミナルの画面を分けて並べる、見張りに向いたターミナルを使う、などがあります。
「担当の画面を1か所に並べて見張りたい」——見張り方も、道具選びの話になります。
- 23
1つ取り込むたびに、残りの仕事を合わせ直して、次の仕事へ進みます。輪の中で、担当はそれぞれ第19章の流れを回しています。
「Issue を担当に1つずつ振って、確かめたものから1本ずつマージして」——この一言が、この章の全部です。
この章のまとめ
- 1
オーケストレーションは、複数の AI を1つの目的に向けて束ねる進め方です。指揮役が計画を立てて仕事を分け、指示を書き、見張り、確かめ、取り込みます。担当の AI は、それぞれ別のコンテキストと自分の worktree で1つの仕事をやり切り、証拠をつけて報告します。取り消しにくい操作と最後の判断は、人がします。
- 2
うまくいくかは、分け方と指示でほとんど決まります。1つの仕事に担当は1人にし、同じファイルを2人に同時に触らせません。担当は指揮役との会話を知らないので、指示には目的・範囲・終わりの条件・確かめ方・報告の形を書きます。
- 3
「終わりました」は証拠で確かめ、1本ずつ取り込みます。入れるたびに、残りのブランチを main に合わせ直して(rebase)確かめ直します。トークンは人数ぶん使うので、互いに独立した仕事があるときに、少ない数から始めます。
この章で使った言葉と、くわしく説明した章
- セッション:第6章 はじめての1往復:AI エージェントに頼んで、確かめる
- 終わりの条件・確かめ方:第7章 頼み方と確かめ方
- 許可・プランモード:第10章 許可のしくみとプランモード
- ブランチ・マージ・Pull Request:第11章 Git と GitHub でつなぐべき理由
- サブエージェント・並列・worktree:第16章 サブエージェントと並べて進める作業
- 取り消しにくい操作への備え:第18章 セーフガード:AI に読ませてはいけないものと、事故を防ぐしくみ
- 1つのセッションで通す流れ:第19章 通しでやってみる:頼むところから取り込むまで
この先どう学ぶか
この章のしくみには、試験的なものや、お試しの段階のものが多くあります。名前と使える範囲は版が上がるたびに変わるので、使う前に、下の「確かめた情報源」にある各社の公式の文書で確かめてください。小さく試すなら、Claude Code の公式にある、書く1つと見直す1つの2つのセッションで進める例が手がかりになります。
この章の内容を確かめた情報源
- Claude Code「Run agents in parallel」(並べて動かすやり方の比べ方・同じファイルを触る作業・トークン)
- Claude Code「Orchestrate teams of Claude Code sessions」(リーダーと担当・会話を受け継がない・同じファイル・許可・担当を待つ・向く仕事)
- Claude Code「Manage multiple agents with agent view」(claude agents・セッションの状態・worktree で分ける・main へ push しない・使用量)
- Claude Code「Best practices for Claude Code」・「Run parallel sessions with worktrees」・「Run Claude Code programmatically」(並べて増やす順・書く役と見直す役・worktree・claude -p)
- OpenAI「Long-running work」・「Subagents」(成果・制約・確かめ方・並べるときに同じファイルを触らせない・まとめ役)
- OpenAI「Codex Cloud」・「CLI commands」・「Non-interactive mode」・「Worktrees」(クラウドのタスク・codex cloud list・codex exec・worktree)
- Google Antigravity「Teamwork agent teams」・「Agents command (/agents)」・「Headless mode」・「Projects」(/teamwork-preview の役目と同じファイルを触らせない決まり・Agent Manager・agy -p・worktree)
- Git「Git Branching - Rebasing」・「Basic Branching and Merging」(rebase・コンフリクト)
- tako「オーケストレーション」・GitHub の takushio2525/tako(このサイトの作者が作っているツール)
確認日: 2026年10月25日