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AIコーディングをはじめよう

第19章・安全に、通しでやってみる

通しでやってみる:頼むところから取り込むまで

ここまでの章で、AI とは何か、LLM のしくみ、AI エージェントの使い方、そして AI を自分の作業に合わせる仕掛けを、1つずつ見てきました。この章では、それらの言葉が、実際の1つの作業の中でどうつながるのかを通して見ます。

題材は、架空の練習用のページ「買い物メモ」に、「同じ品物を二重に足さない」という小さな直しを入れる作業です。やることを Issue に書くところから始めて、AI に計画を立てさせ、許可しながら書き換えてもらい、テストで確かめ、Pull Request で取り込むまでを、順に追います。

新しい言葉はほとんど出てきません。それぞれの場面の説明の終わりに、その言葉をくわしく説明した章の番号を添えました。忘れた言葉があったら、ページの下のまとめから、その章へ戻って読み返せます。

この章で見ること
Issue に書く → ブランチを切る → Claude Code を起動してプランモードで計画を立てさせる → 計画を承認する → 書き換えとコマンドを許可する → テストと自分の目で確かめる → コミットして Pull Request を作り、マージする、までを通して見ます。最後に、仕掛け(スキル・フックなど)を足すとどこが楽になるかと、Codex と Antigravity CLI の同じところを並べます。
読み終わると
AI コーディングの会話で出てくる言葉が、1つの作業の流れの中でつながって分かる
前の章までに知っていること
ここまでの章をひととおり読んでいると、いちばん分かりやすく読めます。とくに第6章(はじめての1往復)・第10章(許可とプランモード)・第11章(Git と GitHub)の言葉が多く出てきます。読んでいない章があっても、各場面に添えた章の番号から戻れます。
読む時間の目安
20分ほど

下にスクロールすると、図が1つずつ動いて説明が進みます。見逃したら、スクロールを戻せば同じところが巻き戻ります。図は、しくみを説明するために描いた模式図です。実際のアプリの画面ではありません。

  1. 01 / 22

    この章では、小さな作業を1つ、頼むところから取り込むまで通して見ます。流れは5つの段階です。

    ここまでの章の言葉が、どこで出てくるかを順に見ます。(第N章)は、その言葉をくわしく説明した章です。章へのリンクは、ページの下のまとめに並べました。

    会話では:「Issue を立てて、ブランチを切って、プランモードで計画させて、テストが通ったら PR にして」——この章では、この一言の中身を順に見ていきます。

    しくみの図頼むところから取り込むまで
  2. 02 / 22

    まず、やることを Issue に書きます。題材は架空の「買い物メモ」のページで、同じ品物を二重に足せてしまう困りごとです。

    Issue は、GitHub にやることを書いておく場所です(第11章)。目的・やること・終わりの条件を書いておくと、そのまま AI への頼み方になります(第7章)。

    会話では:「Issue #12 に書いておいたので、それをやって」のように、番号で頼めるようになります。

    しくみの図Issue:やることを先に書いておく
  3. 03 / 22

    作業フォルダーには、AI への指示ファイル CLAUDE.md を置いてあります。テストのコマンドや、決まりごとが書いてあります。

    Claude Code は起動のたびに CLAUDE.md を読むので、同じことを毎回頼まずに済みます(第12章)。Codex や Antigravity CLI では AGENTS.md などです。

    会話では:「テストは npm test って CLAUDE.md に書いてあるから、言わなくても通じるよ」

    しくみの図作業フォルダーと指示ファイル
  4. 04 / 22

    ターミナルに移ります。git status で、まだ記録していない変更が無いことを確かめました。

    「nothing to commit, working tree clean」は、最後のコミットから何も変わっていない、という意味です。記録が残っているので、AI の変更がだめでも戻れます(第11章)。

    会話では:「AI に触らせる前に、コミット済みか確かめておいて」のように言います。

    ~/shopping-list
  5. 05 / 22

    git switch -c で新しいブランチ(枝)を切ります。名前は CLAUDE.md の決まりどおり、Issue の番号から付けました。

    これで main をそのままにして、枝の上で作業できます(第11章)。この操作も AI に頼めますが、ここでは自分で打ちました。

    会話では:「ブランチを切ってから任せる」——うまくいかなければ、この枝を使わずに捨てられます。

    ~/shopping-list
  6. 06 / 22

    claude と打って、Claude Code を起動します。いま居るフォルダーが、AI の作業場所になります(第5章・第6章)。

    初めてのフォルダーなら、ここで「信頼しますか」と聞かれます(第6章)。答えはフォルダーごとに覚えられるので、前に答えたこのフォルダーでは聞かれません。

    会話では:「プロジェクトのフォルダーで claude を起動して」のように言います。

    ~/shopping-list
  7. 07 / 22

    Claude Code の画面です。このとき CLAUDE.md の中身はもう読み込まれていて、AI に送る中身に入っています。

    指示ファイルは、コンテキスト(AI が一度に見ている中身)に最初から入ります(第9章)。画面は Claude Code 2.1.301(2026年10月時点)を写したもので、モデルの名前などは省きました。

    会話では:「CLAUDE.md、ちゃんと読まれてる?」——/context と打つと確かめられます(第9章)。

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  8. 08 / 22

    Shift + Tab を3回押して plan mode on にします。プランモードの AI は、調べて計画を立てるだけで、書き換えません。

    押すたびに auto → manual → accept edits → plan と変わります(第10章)。頼む文の頭に /plan を付けても、その1回だけプランモードで頼めます(第8章)。

    会話では:「まずプランモードで計画を出させて」——いくつものファイルを変える作業や、やり方に迷う作業で使います。

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  9. 09 / 22

    入力欄に頼みます。やってほしいこと・条件(テストも足す)・終わりの条件(npm test が通ったら完成)を入れました。

    終わりの条件があると、AI は自分で確かめてから「終わった」と言えます。Claude Code の手引きも、テストのような確かめる手段を渡すことを最初に挙げています(第7章)。

    会話では:「終わりの条件を決めて頼む」「npm test が通るまでやって」のように使います。

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  10. 10 / 22

    AI はファイルを3つ読んで計画を立て、「Ready to code?」(作り始めてよいか)と聞いてきます。点線のあいだが計画です。

    ここまで、ファイルは1つも書き換わっていません。読んだファイルの中身は、コンテキストに積まれます(第9章)。計画がずれていたら、作り始める前のここで直します(第10章)。

    会話では:「計画を読んでから承認して」——作り始める前に、向かう方向が合っているかを確かめます。

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  11. 11 / 22

    計画どおりでよいので、2. の「Yes, manually approve edits」を選びます。書き換えを1つずつ確かめる進め方です。

    1. は承認して auto モードで進める、3. は直してほしいことを伝える、です。ここでは、書き換えを1つずつ見るために 2. を選びました(第10章)。

    会話では:「計画を承認して、manual で進めて」——承認するときに、そのあとの進め方も選びます。

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  12. 12 / 22

    Enter で決めると、AI が書き換えに取りかかり、書き換える前に許可を求めます。+ の行が、足される行です。

    「User approved Claude's plan」は、計画を承認した印です。差分では、addItem に「同じ名前の品物があれば、そのまま返す」1行が足されます(第6章・第11章)。

    会話では:「差分を見てから Yes して」——頼んでいないところまで変わっていないかも、ここで見ます。

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  13. 13 / 22

    1. Yes で許可すると app.js が書き換わります。続く app.test.js(テストのファイル)も、差分を読んで許可しました。

    「Added 1 line」は1行足した、という意味です。実物では、この下にもう一度差分が出ます(図では省いています)。おかしな書き換えなら、No で止めて直し方を伝えます(第6章)。

    会話では:「Update の丸が緑になった」は、書き換えが済んだ合図です。

    ~/shopping-list
  14. 14 / 22

    次に AI はテストを動かそうとして、コマンドの前にも許可を求めます。点線のあいだが、これから動かすコマンドです。

    npm test は、このプロジェクトのテストを動かすコマンドです。CLAUDE.md に書いておいたものを、AI が使っています。コマンドの許可で何を読むかは第10章で見ました。

    会話では:「コマンドを読んでから Yes して」——知らないコマンドなら、何をするのかを AI に聞いてから決めます。

    ~/shopping-list
  15. 15 / 22

    Yes にするとテストが動き、AI が結果を報告します。テストが2つとも通った、という報告です。

    テストが落ちていたら、AI は結果を読んで直し、もう一度動かします(エージェントのループ。第4章)。「Ran 1 shell command」の中身は、ctrl+o で詳しい表示に切り替えると見られます。

    会話では:「テストの結果を見せて」——終わったという言葉だけでなく、動かした証拠を見ます。

    ~/shopping-list
  16. 16 / 22

    AI の報告で終わりにせず、自分でも確かめます。ページで牛乳をもう一度足して1行のままかを試し、差分も読み直します。

    テストが通っても、頼んだとおりかを決めるのは人です(第7章)。/diff で変わったところを見たり、別の AI(サブエージェント)にまっさらな目で見直させたりもできます(第16章)。

    会話では:「動作確認までやった?」「サブエージェントに差分を見直させて」のように言います。

    しくみの図自分でも確かめる
  17. 17 / 22

    ターミナルで「コミットして、PR を作って」と頼みました。AI はコミットを済ませ、プッシュと PR づくりの許可を求めています。

    コミットの前にも許可を求められました(図では省略)。gh pr create は PR を作るコマンド、説明の「Closes #12」はマージで Issue #12 を閉じる書き方です(第11章)。

    会話では:「コミットして PR を作って」「PR の説明に Closes #12 を入れて」のように頼みます。

    ~/shopping-list
  18. 18 / 22

    Yes で許可すると、GitHub に Pull Request(PR)ができます。説明・変わったファイル・差分が1か所にまとまります。

    PR は「この枝の変更を main に取り込んでください」という提案です(第11章)。AI が作った PR は読み直し、気になる点を AI に挙げさせるよう、Claude Code の手引きは勧めています。

    会話では:「PR の差分を見てからマージ」「この PR の気になる点を挙げて」のように使います。

    しくみの図Pull Request:確かめてから取り込む
  19. 19 / 22

    確かめ終わったら、main にマージします。説明に書いた「Closes #12」で、Issue #12 が自動で閉じます。

    これで1つの作業が終わりです。次の別の作業は、/clear で会話を空にしてから始めると、前の作業の話が混ざりません(第9章)。

    会話では:「確かめたのでマージして」「次の作業は /clear してから」のように言います。

    しくみの図Pull Request:確かめてから取り込む
  20. 20 / 22

    ここまでは、指示ファイルのほかは基本の道具だけで進めました。第13〜16章の仕掛けを足すと、同じ流れの決まった場所を、楽に・確実にできます。

    Issue を読んで直し PR を作るまでをスキルにして /fix-issue 12 で呼ぶ例が、Claude Code の手引きにあります(第13章)。仕掛けの組み合わせ方は第17章、事故を防ぐしくみは第18章で見ました。

    会話では:「この流れ、スキルにしておこう」「チェックはフックで必ず動かす」のように言います。

    しくみの図仕掛けを足すと
  21. 21 / 22

    Codex や Antigravity CLI でも、同じ流れで進められます。指示ファイル・計画・書き換えの前の確認・確かめる手段が、どれにもあります。

    名前は少しずつ違います(指示ファイルは Codex が AGENTS.md、Antigravity CLI が AGENTS.md か GEMINI.md)。コミット・ブランチ・PR は Git と GitHub のしくみなので、どのツールで作業しても同じように残ります。

    会話では:「Codex でも Antigravity CLI でも、/plan で計画から始められる」

    しくみの図3社のコーディングエージェントで同じ流れ(2026年10月時点)
  22. 22 / 22

    これで、頼むところから取り込むまでの1周です。実際の作業では、この流れを Issue ごとにくり返します。

    この先は、各社の公式の文書(ページの下)や、Git と GitHub を手を動かして覚える GitHubをはじめよう(外部サイト・新しいタブで開きます) で学べます。複数の AI のセッションに分けて同時に進めるやり方は第20章で見ます。

    会話では:「Issue を立てて、ブランチを切って、プランモードで計画させて、テストが通ったら PR にして」——この一言が、もう通じるはずです。

    しくみの図頼むところから取り込むまで

この章のまとめ

  1. 1

    頼む前に、やることを Issue に書き、ブランチを切っておきます。目的・やること・終わりの条件を書いた Issue は、そのまま AI への頼み方になります。指示ファイルにテストのコマンドや決まりごとを書いておけば、毎回言わずに済みます。

  2. 2

    いくつものファイルを変える作業は、プランモードで計画から始めます。計画を読んで承認してから、書き換えとコマンドを、差分や中身を読んで許可します。テストのような確かめる手段を渡しておくと、AI は自分で動かして確かめられます。

  3. 3

    AI の報告で終わりにせず、自分でも確かめてから、Pull Request で取り込みます。説明に「Closes #番号」と書けば、マージで Issue も閉じます。次の別の作業は /clear してから始めます。この流れは、Codex や Antigravity CLI でも同じです。

この流れに出てきた言葉と、くわしく説明した章

計画する
確かめる
取り込む

この先どう学ぶか

道具は版が上がるたびに変わります。いちばん新しいことは、下の「確かめた情報源」にある各社の公式の文書で確かめてください。Git と GitHub は、同じ作者の「GitHubをはじめよう」で、1つずつ手を動かして覚えられます。あとは、小さな作業から、この章の流れで実際に頼んでみるのがいちばんの近道です。

この章の内容を確かめた情報源

確認日: 2026年10月25日

次の章第20章 オーケストレーション:複数の AI に分けて任せる仕事を、それぞれ別のコンテキストと作業フォルダーで動く複数の AI に分けて任せ、指揮役が確かめてから1本ずつ取り込む。

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